正平調

時計2019/11/03

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いまそこに直木賞作家の藤本義一さんが笑顔で座っているような気がした。円卓の遺影はたばこをくゆらせるダンディーな表情、いすにはジャケットが掛かる◆没後7年の10月30日、大阪で「蟻君(ありんこ)忌」と銘打ったしのぶ会があった。生前、名前の「義」に虫偏を付けた「蟻」を意識していた。「蟻一匹 炎天下」。求められるとこう揮毫(きごう)した。東京に流されず、大阪に腰を据えて這(は)い進んでやろう。そんな気概がにじんだ◆「関西から多くの才能を発掘したい」と仲間たちと作家養成スクール「心斎橋大学」を開校したのは1987年のことだ。自ら総長として熱心に後進を指導した◆「文化的星座の中心的人物として大阪文化の輝きを際立たせた」。長年、上方芸能の変遷を見てきた木津川計さんの評だ。小説を書きテレビで核心を突く発言を重ねる一方、先頭に立って若い演者や作家を応援し続けた◆その遺志を継ぎ創設された「藤本義一文学賞」は今年で5回目を数える。430を超す作品が寄せられ、蟻君忌に合わせて授賞式があった◆難波利三さん、新野新さん、成瀬國晴さん、大村崑さん、桂福団治さん…。大阪に根差す文化人が集い、義一さんの周りにははんなりとした大阪弁が響いた。往時の星座のきらめきが浮かんだ。2019・11・3

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