正平調

時計2019/11/05

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古書店の棚で「アンネ・フランクの記憶」が目に留まった。西宮在住の作家、小川洋子さんが彼女の足跡を訪ね、1995年に出した紀行だ。アンネは29年生まれとあり、はっとした。90年前である◆同い年の人たちを少し調べた。「令和」を考案した国文学者の中西進さん。故人では女優のオードリー・ヘプバーンさん。脚本家の向田邦子さんや随筆家の須賀敦子さんもそうだった◆須賀さんは芦屋出身で西宮などで育ち、小林(おばやし)聖心女子学院で学んだ。イタリアで結婚し翻訳などに携わるが、夫が早世。帰国後、50代になってエッセーを書き始めた◆「ミラノに霧の日は少なくなったというけれど、記憶の中のミラノには、いまもあの霧が静かに流れている」。生前に出版したエッセー集は5冊のみで、それが読者の心をつかんで離さない◆須賀さんが亡くなったのは69歳のときだった。まだ若かった。飛行機事故に遭った向田さんは51歳。もう少し生きていたなら、2人はどんな本を残しただろう◆日記で知られるアンネは15年の生涯だったが、いま90歳でもおかしくない。ナチスから逃れていればと思ってしまう。だが限られた時間、それぞれの人生はかけがえのないものだった。1冊の日記、5冊の随筆集の重みは計り知れない。2019・11・5

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