正平調

時計2020/01/29

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恥ずかしながら、一読では歌の意味をはかりかねた。〈選別はたつたの三つ 労働者、実験検体そして価値なし〉(永田和宏)。短歌誌の解説に「アウシュビッツ」の名を見つけて、何を詠んでいるのかにようやく思い当たった◆連行のユダヤ人を待っていたのは強制労働か、人体実験か、ガス室送りか。ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)は、人類史最悪の犯罪ともいわれる◆110万人以上を死に追いやったポーランドのアウシュビッツ強制収容所が解放されたのは、ドイツ降伏のおよそ100日前である。75年にあたる今月27日に追悼式が行われ、生存者たちが記憶の継承を訴えた◆大戦中の神戸を舞台にした手塚治虫さんの漫画「アドルフに告ぐ」に、こんな語りがある。「どの人種が劣等だとか、どの民族が高級だとか…あおりたてるのはほんのわずかなひとにぎりのオエライさんさ…」◆漫画では、ドイツ人とユダヤ人の少年に戦争が牙をむき、その友情を引き裂きにかかる。声の大きな者が他者への憎しみをあおり、分断と対立の種をまく…そんなことは昔話だと、いま言い切れないのが悲しい◆アウシュビッツを訪ねる若者が増えているそうだ。歴史から目をそむけまいとする人類の良心を信じたい。2020・1・29

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