正平調

時計2020/02/16

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この人の言葉は胸に響いた。第16代検事総長の伊藤栄樹(しげき)さんだ。亡くなって32年になる◆就任会見での一言が耳の奥に残る。「悪いやつは眠らせない」。そう言ってのけた。「巨悪」と言い表すこともあった。誰であれ大きな悪からやっつける。決意と覚悟が伝わった◆身に覚えのある人は眠れぬ夜が続いたろうが、伊藤さんはこうも話した。「被害者とともに泣く」「うそを言わない」。そして「検事はいつも遠山の金さんであり続けなくてはならない」。庶民の感覚を大事にしたいというわけだ。あえなく「金さん」が「銀さん」になる場合もあるがね、と◆検察の首脳人事に官邸が口出しをしたと、国会で論議が続く。定年のルールを曲げ、政府や自民党と近しいとされる人を次期検事総長に据えようとしている。野党はそう批判する。政府は突っぱねるが、どうみても無理に無理を重ねているとしか映らない◆伊藤さんの思い出を続ける。好んだ言葉に「剔抉(てっけつ)」があった。難しい2文字だが、えぐり出すこと、悪事を暴き出すことである。検察のトップ人事が政治の思惑に絡め取られたら、政界へ剔抉のやいばを向ける胆力が鈍りはしないか。そこが気になる◆たんかを切らない、いや切れない金さんなら、庶民は拍手をしない。2020・2・16

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