正平調

時計2020/02/25

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駅のホームによちよち歩きの坊やがいた。列車通過のアナウンスが流れると、母親らしき女性が坊やの腕をとって手元に引き寄せる。何日か前の朝、通勤途上で見かけた光景である◆万葉集などに「ははそばの母」という表現が出てくる。ははそばとはコナラやクヌギなどの総称・柞(ははそ)の葉のことだそうで、語感の響きから母の枕ことばになったらしい◆作家の深沢七郎さんが随筆に書きとめている。「母親というものはいつもそばにいるのだから、こんな言葉が出来たのだと思う」。駅で見た「ははそば」の光景が心に残ったのはこのところ、それとは真逆の子どもらの涙に日々接するせいかもしれない◆千葉の虐待死事件で被告である父の裁判が始まった。亡くなった小学4年の女児は「お父さんにぼう力を受けています」と学校アンケートで訴えていた。SOSはなぜ届かなかったか。少女の絶望を改めて思う◆神戸市では、自宅を追い出された小学6年の女の子が児童相談所に駆け込んでいる。追い返されたという。冬の午前3時台である。凍えた体で唇を震わしながら町をさまよった、その子の悲しみを想像してみる◆だれかそばにいて助けてほしい。そっと腕をとり抱き寄せてほしい。光を求めて手を伸ばす子どもたちがいる。2020・2・25

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