正平調

時計2020/03/04

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普通の人は「ガンバレ」の励ましをもらって奮起し、「負けちまえ」のヤジには傷つき腹も立つ。孤高の境地で綱を張ってきた力士の場合はその逆であるらしい。“ウルフ”と呼ばれた元横綱、千代の富士関が振り返っている◆調子が出ないところへ「きょうは勝ってくれよ」と言われればわれながら情けなくなるし、敵なしの強さを発揮して聞く「そろそろ負けてくれ」は気分がいいものだと◆よくも悪くもファンの声は、いまの自分がどれほどのものかをありのままに映す鏡でもあるのだろう。その声が、ない。新型コロナウイルスの対策として、8日から始まる大相撲春場所は無観客開催が決まった◆静寂の土俵で、おのれの士気をどう高めるか。難しい場所にのぞむのは力士ばかりでもない。中継で聞くどよめきなり、ざわめきなりで力士の調子や注目度をはかってきたテレビ桟敷のファンも多いはずである◆無観客で行われたプロ野球オープン戦の様子をテレビが伝えていた。応援の鳴り物もないなか、エースの速球が捕手のミットに収まるときの「バシン」という音は驚くほど大きく感じられた。相撲はどうだろう◆闘志と闘志がぶつかり合うとき、火を噴くように飛び散る音がある。静かな春のせめてもの耳の楽しみかな。2020・3・4

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