正平調

時計2020/03/17

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重い知的障害のある人たちが暮らす施設で、声をかけられた。「あんなあ、あんなあ」。どうかしたの? 「地震、地震」。海外で地震が相次いでいたころである。「お祈り、お祈り」◆滋賀県にその施設をつくり、障害児教育に取り組んできた福井達雨(たつう)さんが、ある入所者とのやりとりを著書に記している。相手はそれからゆっくりと祈ったそうだ。「地震、苦しんでる人、守ってください」-◆ひとの心の痛みをわがことのように悲しんだり、ひとの喜ぶさまに自然と笑みがこぼれたり。そうした感受性や共感力にふれ、人間の心の豊かさを知る。たとえ障害があっても。言葉で伝えることが難しくとも◆相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で事件があったのは4年前の夏である。「意思疎通のできない障害者は不幸」というねじれ曲がった思想のもと45人を殺傷した被告にきのう、死刑判決が下った◆「みんなを助けたい」、その一心だったのだろう。恐怖に満ちた現場で、拘束された職員に頼まれ、110番をかけるための携帯電話を取りに行った入所者がいる。自らも刺され、痛みをこらえながら、である◆奪われし命、奪われし尊厳。「どんな刑でも絶対に許さない」と語っていた遺族の言葉が胸をはなれない。2020・3・17

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