正平調

時計2020/03/22

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この詩は、いろんなことを考えさせる。「飛ぶ教室」などで知られるドイツの作家エーリヒ・ケストナーの「絶望第一号」だ。はしょって紹介する◆貧しいおうちの男の子がパンとベーコンを買おうとした。ところがもらった1マルクがない。明かりは消え〈望みが絶えた〉。家では父がおなかをへらして待つ。心配になって捜す母と会い、男の子は大声で泣く。〈そして ふたりは しょんぼり 家へはいった〉。ここで詩は終わる◆さて、すきっ腹の父は息子をどう迎えたのだろう。一家にとって、なけなしの金である。泣きじゃくる子からいきさつを聞き、おなかをなだめながら寝たか。あるいは…◆10歳の娘を虐待し、死亡させたとして傷害致死罪などに問われた父に懲役16年の判決が言い渡された。おぞましい数々の暴行をあらためて読みながら、ケストナーの詩を思い出す。この父なら、見つけるまで眠るな、夜道で1マルクを捜せと命じたか◆詩の解説によれば、男の子はケストナーの自画像という。あの夜、一緒にしょんぼりと帰った母を慕い続け、病床に伏せったときは学校を抜け出してまで看病したそうだ◆一緒に。ささやかな思い出は人生の宝物にもなる。それも知らずに亡くなったかと、娘の遺影をじっと見る。2020・3・22

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