正平調

時計2020/04/19

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なかなか言えるせりふではない。私たちの今を変えることはできなくても、「未来の歴史を変えることはできるかもしれない」。映画雑誌「キネマ旬報」の4月下旬号で目にとまった◆亡くなった映画監督大林宣彦さんである。戦争を知る目に、現状は危うく映った。平和を唱える作品に力を注ぎ、コロナウイルス禍で公開が延期になった「海辺の映画館 キネマの玉手箱」が、遺作となった◆黒沢明さんからバトンを受けたのだという。大先輩はこう言ったそうだ。いつか映画で平和な世界にしよう。俺の次は君、それから君の子、孫、そしてひ孫、ずっとつなごうよ、と。それが冒頭のせりふになった◆大林語録をあと二つ。故郷の尾道を舞台にした理由を問われ、「戦死した町のお兄ちゃんが守っていた日本のふるさと。叙情的な恋の映画ではなく、これはふるさとを守る映画だ」と。5年前の本紙に載った◆こんな言葉も味わい深い。「戦争を知っている最後の世代である僕ら老人が、命を削ってでも、思いを映画に託さなくっちゃ」。キネマ旬報で読んだ一言だ。笑顔がとても柔らかい映画人だった。しかし穏やかな笑みは、譲れない固いものをくるんでいた◆享年82。バトンは戦無派に渡ってきた。手にするとずしりと重い。2020・4・19

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