正平調

時計2020/04/20

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「怪談」で知られる明治の文豪小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が神戸滞在中に暮らした居宅とみられる離れ座敷を訪ねたことがある。30年も前のことで今はないが、その重厚なたたずまいは記憶に鮮明だ◆今年で生誕170年、来日130年になる。松江で日本の面影に触れた後、1894(明治27)年、熊本の旧制五高の教師から英字紙「神戸クロニクル」の論説記者として神戸に赴任した◆新興の港湾都市の繁栄はどう映っただろう。当時出版した著書「心」に「コレラの流行期に」という一編がある。まん延した感染症に見舞われ、家の前の通りから患者が病院に運び出されていく様子を冷静に描いた◆〈泣き叫ぶ家族の頼みも聞き入れられず、病人は強制的に連れて行かれた。(中略)残酷に思われるが、衛生法は残酷でなくてはならないのだ〉。近代化の裏側に広がる都市の暗部をすくい上げようとしたジャーナリストの筆が光る◆松江市の小泉八雲記念館館長を務めるひい孫の小泉凡(ぼん)さんと話した。「怪談、コレラ…。人間の不安を見つめたまなざしはコロナ禍の現代にも通ずる」◆記念館は休館中だが、6月27日の誕生日に合わせて企画展の準備が進む。パンデミックに沈む世界に共感のメッセージを発信してほしい。2020・4・20

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