正平調

時計2020/04/25

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命の重みを伝える空の色がある。1985年の日航機墜落事故で遺族がつづった文集のタイトルは「茜雲(あかねぐも)」だった。墜落時刻は午後6時56分。亡き人はその赤を最後に見たであろうと◆2005年の尼崎JR脱線事故は青い空の記憶とつながる。発生は午前9時18分ごろで、きのうの本紙阪神版が乗客の回想を伝えていた。「車窓からは空しか見えなかった。ほとんど雲がない、青い空でした」◆事故を風化させまいと負傷者や家族らは毎年、青を基調とした「空色の栞(しおり)」をJR尼崎駅などで配ってきた。空や海、クジラなどを描いた今年は新型コロナウイルス禍で手渡しはせず、駅に置くなどしたという◆「あの日を忘れない」と記された英文や、ぎゅっと結びつけられたリボンに思いがこもる。言葉などでとても言い尽くせぬ歳月をそれぞれに重ねてこられたのだろうと、そう考えるとき、小さな栞は重みを増す◆谷川俊太郎さんの詩にこんな一編があった。〈空の青さをみつめていると/私に帰るところがあるような気がする/だが雲を通ってきた明るさは/もはや空へは帰ってゆかない〉(「六十二のソネット」より)◆事故から15年がたった。青い空の記憶にいま一度、心を寄せよう。いつまでも胸に刻んで、忘れずにいよう。2020・4・25

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