正平調

時計2020/05/09

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毎日の空襲におびえて暮らす自宅で娘がピアノを練習するのを聴いた。漫談家徳川夢声が「夢声戦争日記」に記している。曲はショパンの「雨だれ」。さすがは名曲だと感想を添えた◆「この練習中のタドタドしい一くさりにも、こちらの魂まで、ちょいと揺(ゆさ)ぶられるような一瞬がある」(昭和20年4月10日)。優雅に見えても本当は、重苦しい時節ゆえに胸を打つものがあったのかもしれない◆メロディーを文字に起こすのはむずかしい。例えば「雨だれ」をなんと伝えよう。優しい雨音の響きが次第に暗くなり…などとへたな説明をいくら試みたところでまず通じまい。“百言は一聞にしかず”だろう◆国が緊急事態にあるなかで、音楽もそのジャンルを問わずさまざまな演奏会、コンクールが中止になった。奏でる人、歌う人、届ける人、見る人、聴く人。音楽がどれほど身近な楽しみであったかを改めて知る◆暴動など混乱期のアルバニアに生まれた若いピアニストの言葉をある季刊誌で読んだ。ピアノが恐怖と貧しさを忘れさせてくれた。音楽は言語や文化の壁を越え、人が「魂同士で対話するためのもの」だったと◆コロナ禍のいま、自分の魂にはさてどんな音楽を聴かせてあげよう。週末はちょっと自宅で曲めぐりの旅に。2020・5・9

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