正平調

時計2020/05/26

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よく晴れた週末、神戸の須磨海岸を歩いた。お互いの距離に気を使いつつ、どなたも5月の海を楽しんでいる。コロナ禍でも「緊急事態」という心の重しがとれたせいか、浜辺に遊ぶその表情はみなきらきらとまばゆく思えた◆若い人たちがサッカーやバレーボールをしたり、ダンスの練習をしたりしている。ギター弾きもいる。お調子者らしき海パン男子が海に飛び込んだ。〈一生の楽しきころのソーダ水〉(富安風生)。青春である◆太陽も負けじと元気で、西に傾いてなお明るい光をさんさんと放ち、「じゃ、またあした」と軽く手でも振るように悠々と沈んでいく。風がそよっと吹き抜ける。〈海山ゆ絶えざる風の薫るなり〉(中川宋淵)◆帰りの道すがら、「持ち帰り、始めました」と書かれた飲食店の張り紙をいくつも見た。その1枚に「お願いします」とある。胸をつかれた。あの手、この手。どこの店も歯を食いしばり、今を踏ん張っている◆きのう、政府の緊急事態宣言が約1カ月半ぶりに全国で解除された。一年で最もみずみずしい光と風の季節を十分味わうゆとりもないまま、5月が終わろうとしている◆警戒しつつ今からでも少しは楽しみたい。空の青、木立の緑を仰いで深く息をする。しばしマスクをとって。2020・5・26

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