正平調

時計2020/06/09

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終戦から20年がたったころ、詩人の石垣りんさんがある戦没者名簿を目にして詩をつづった。題を「弔詞」といった。〈ここに書かれたひとつの名前から、ひとりの人が立ちあがる〉◆名前とはきっと、この世に生を受けた何よりの証しなのだろう。詩は呼びかける。〈西脇さん/水町さん/みんな、ここへ戻って下さい〉。あなたがどのようにして死なねばならなかったのか、語ってほしいと◆それぞれのお名前が、戦争の悲惨と平和の尊さを語ってくれるにちがいない。死者8千人超といわれる神戸空襲の慰霊碑(神戸市中央区)に148人分の名が新しく刻まれた。刻銘はこれで計2191人になる◆追悼の催しがあったことを伝えるきのうの本紙をめくれば、地域版には明石空襲の慰霊祭や「火垂るの墓」記念碑(西宮市)除幕式の記事もあった。コロナ禍のなか、いずれも出席者を減らして行われたという◆神戸空襲で母を亡くした幼女が石ころをご飯に見立て「兄ちゃん、どうぞ」、そう言って栄養失調で死んでいく。野坂昭如さんの小説「火垂るの墓」に出てくる節子がもしも生きていたら、“まだ”79歳である◆わたしはどうして、死なねばならなかったか。亡き人たちの声に耳を澄ます。戦後75年の夏がめぐってくる。2020・6・9

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