正平調

時計2020/06/26

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外国では、戦争に勝ったり国を救ったりした人物の勇ましい銅像をよく見かける。ところが、日本のど真ん中、東京・上野公園に立っているのは…と詩人の杉山平一さんが書いていた◆「寝間着のような着物に草履をはいて犬を連れている」。その人がヒーローとしてずっと慕われてきたことに、この国の平和を感じる、と。確かに、西郷隆盛の親しみやすさはあの銅像によるところ大であろう◆米ニューヨークの自然史博物館の入り口にあるセオドア・ルーズベルト元大統領の像は、黒人と先住民とを付き従えている。そのデザインが人種差別的と批判されていたことを踏まえ、このほど撤去が決まった◆米大陸を発見したコロンブスや初代大統領ワシントンの像も、奴隷制を容認したり所有したりしていたかどで、すでにデモ隊に引き倒されている。当地で広がる反差別運動は教科書で学んだ偉人にも容赦がない◆銅像になった西郷さんを見たとき、妻はつぶやいたという。「こげんなお人じゃなかった」。人物や歴史の見え方はそれぞれの立場によって変わるということを、その挿話が教えてくれているようにも思われる◆だれかにとっての英雄は別のだれかを泣かせているかもしれない。歴史に限らず覚えておきたい教訓だろう。2020・6・26

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