正平調

時計2020/07/08

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関西弁の社長が無遠慮に言う。「東京の人は杉の木みたいでんな」-。奥田英朗さんの短編小説「毎度おおきに」の一こまにあ。「硬くて真(ま)っ直(す)ぐ。見た目はええけど遊びがない」◆東京の人は大いに反論したいところだろうが、杉のたとえは人でなく街の形容としては悪くない。林立のビル群は空に真っすぐ伸びる並木のようだし、地方から見た東京はそれ自体が仰ぎ見る巨杉のようである◆以前の神戸新聞文芸で見つけた句をお借りすれば〈東京はTokyoという万華鏡〉。ほかには〈帰省子の東京訛(なま)りもどかしき〉も味わい深い。だれもが一度は憧れ、その色に染まりたい、そんな街なのだろう◆人を引きつけるきらめきの魔力も、憎らしいほどだった大木の力強さも、このところ少し影が差してきたような。小池都政の第2幕はとにもかくにも感染が再び広がる新型コロナウイルス対策、そこからである◆かじ取りいかんでは地方もろとも傾きかねない。何かとうまい言い回しで「聞こえはええけど中身が…」などと突っこまれないよう、掲げた公約に取り組んでもらおう◆コロナ禍の社会が「脱東京」「脱都会」を加速させるとすれば、地方のセンスもまた試される。杉の小木をまねて植える“ミニ東京”はもういらない。2020・7・8

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