正平調

時計2020/07/14

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「夏でも雪が降る」。JR尼崎駅の東側、旧クボタ神崎工場周辺を歩いたときかつて住民に聞いた言葉が浮かんだ。高度成長期、髪の毛の5千分の1の微細なアスベスト(石綿)繊維は天気のいいときにはきらきら輝いて見えたという◆工場は水道管に使うパイプや建材を作るために石綿を大量に使った。繊維はどこまで飛散したのだろう。約600人の被害者のうち、周辺住民の被害が従業員を上回る◆工場の道を隔てて北側、至近距離にあった集合住宅が「郵政角田(すみだ)寮」だ。1950年から70年ごろまで旧郵政省の職員やその家族ら130人が暮らした。狭いながらも楽しい暮らしだったと元住人らは懐かしむ◆街の姿は変わったが、肺の奥に刺さった棘(とげ)は消えない。元住人で患者と家族の会会長を務める平田忠男さんによると、寮にいた人の7人が発症しうち6人が亡くなった◆周辺被害の発覚は「クボタショック」として列島を揺るがした。それから15年が過ぎた。全国の中皮腫の死者数は年間1500人を超え、肺がんを含むとさらに膨らむ◆被害根絶を願う集会は新型コロナウイルス感染防止からユーチューブで配信された。「これを公害といわずして何と呼ぶのか」。平田さんの切実な声がパソコン画面から伝わってきた。2020・7・14

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