正平調

時計2020/07/25

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シカによる草木の食害は今に始まったことではないが、これほど深刻とは思わなかった。姫路の市街地に近い書写山円教寺のことだ。聖域として豊かな植生を保ってきたが、すっかり様子が変わった◆同寺の執事長大樹玄承さんは先月、参拝客に「アジサイはどこにありますか」と聞かれて絶句した。かつては梅雨時、奥の院近くのほの暗い山道などにヤマアジサイの一群が密(ひそ)やかに咲いていた。それがシカに食われて、早々と全滅してしまったという◆被害はそれだけではない。最も小さいタケの一種オカメザサも一部を除いて姿を消した。一帯は貴重な群生地として保護地区になっていたが、それも取り消されている◆シカは仏教と縁が深い。悟りを得た釈迦(しゃか)の初説教を聞いたと伝わり「危害を加えるわけには」と大樹さんは苦笑する。神社でも神の使いとされ、人とは関係良好だった◆それが近年揺らいでいる。森林食害の面積は断トツ1位。低木を食い尽くして山肌が緩み、災害の危険も増す。宍粟市はシカの嫌うミツマタを栽培し雇用につなげようとしたが、今度は邪(よこしま)な人が委託金を食った◆今は昔、書写十景に「祖廟鹿鳴(そびょうろくめい)」が選ばれ、開山堂に響く鳴き声は秋の象徴だった。姿を思い胸を焦がす関係を再び築けないものか。2020・7・25

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