正平調

時計2020/07/26

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「傾聴」という言葉がある。耳を傾け、相手の胸の内を理解しようとすることだ。病状の重い患者を前にして、大切なのはその「傾聴」だと、ホスピス医の山崎章郎(ふみお)さんは考えている◆つらいとき、誰かにそばにいてほしい。聞いてほしい。分かってほしい。誠実に耳を傾ける人は、話し手にとって「真に拠(よ)り所になる他者」である。やがて自分らしく生きていこうと思う。講演録にそうある◆嘱託殺人の疑いで、京都府警が2人の医師を逮捕した。亡くなったのは難病の女性患者で、会員制交流サイト(SNS)を通じて安楽死を望んでいたという。頼まれた2人が訪れて、何かの薬物を投与したようだ◆主治医ではない2人が、なぜ依頼に応じたかは調べを待つとして、とても大事なところが気になる。女性の思いに誠実に耳を傾ける姿勢があったのか。生きたいと願う思いを育てようとしたかという点である◆森●外の「高瀬舟」は安楽死を題材にした短編だ。病に伏した弟、葛藤する兄を描いている。読後感はさまざまだろうが、両親を早くに亡くし、貧しくとも支え合って生きる兄弟は、お互いが「拠り所になる他者」だった。その情が物語の底を流れている◆2人に問う。医師として「拠り所になる他者」になろうとしたか。2020・7・26

(注)●は「區」の右に「鳥」、鴎の旧字体

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