正平調

時計2020/08/07

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明治生まれの劇作家、長谷川時雨(しぐれ)の自伝「旧聞日本橋」には父深造の手による挿絵が付いている。主に江戸のころの市中風俗を描いたもので、その一枚に「虎列剌(コレラ)除のをはぎ」がある◆コレラが流行していた時期らしく、おはぎを売る店の前に客が長い列をつくっている。絵の説明によれば、「三日間に牡丹(ぼた)餅を食すれば、此(この)病にかゝらずと云(い)ふものあり」。そのため餅屋は大いに繁盛したとか◆現代人も平時であれば「まさか」と一笑に付したはずだが、このご時世、「効く」と耳に挟めばつい、眉につばを付けつつ試してみたくなるのが心情というもの。餅ではなく「薬」と名が付けばなおさらだろう◆大阪府の吉村洋文知事が突如、うがい薬を推奨し始めた。使うと唾液のなかの新型コロナウイルスが減ったとする研究を引き合いに、予防や治療の効果まではないが、飛沫(ひまつ)感染の拡大は防げるかもしれぬという◆「うそみたいなホントの話」。知事自らそう切り出して宣伝し、店頭からたちまちうがい薬が消える騒ぎとなった。根拠となるデータはまだ少なく、「科学的でない」と専門家が苦言を呈したのも無理なかろう◆その効能はホントか。それとも、絵に描いた大きな“ぼた餅”にすぎぬのか。冷静に検証を待つほかはない。2020・8・7

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