正平調

時計2020/08/08

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新聞をひらくと、ほぼ毎日のように訃報記事がある。〈年々歳々花相(あ)い似たり 歳々年々人同じからず〉。花は毎年同じように咲くのに、眺める人は移りゆく。また一人、の感がある◆96年の生涯に出した本は、300冊を超えるという。学究に咲かせた花の数々は世代を超えて、目にする人々の知的好奇心をくすぐり続けるに違いない。英文学者でエッセイストの外山滋比古(とやましげひこ)さんが亡くなった◆とりわけ外山さんの代名詞ともいえるのが、250万部を超えるベストセラー「思考の整理学」だろう。知識を得るばかりではコンピューターと同じ。考える力を持ちなさいとその大切さを分かりやすく伝えた◆文庫本は1986(昭和61)年に刊行されたが、学生たちのあいだでブームになったのは2000年代以降である。若い世代が“思考する時代”の到来は、人工知能(AI)の驚くべき発展と無縁ではあるまい◆書棚から引っ張りだし、ぱらぱらとめくる。メモやノートの使い方、アイデアの熟成方法、いらぬ知識の忘れ方…。「もっと若い時に読んでいれば…」とはこの本の宣伝文句だが、なに、今からでも遅くはない◆文庫は124刷を重ねたという。今年生まれた子もいつか手にとるだろう。年々歳々、良書は読み継がれる。2020・8・8

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