正平調

時計2020/08/11

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楽しみにしていたのにコロナ禍で打ち切りになった展覧会の一つに、加古川市出身の俳人永田耕衣(こうい)(1900~97年)の回顧展がある。見逃した悔しさを胸に、姫路文学館の竹廣裕子学芸員を訪ねた▼竹廣さんは、耕衣の最晩年に同館が開いた回顧展を担当し、その後も研究を続ける。二十数年を経て見えてきた耕衣像は、と尋ねると「とても厄介な人です」と笑った▼俳壇ではアウトローな存在だった。束縛を嫌って、同人誌「天狼(てんろう)」を抜けた時は「ヤクザ以下」とののしられた。後年には、自身の存在を俳句雑誌でやゆした大家3人に憤り、「生涯銘記軽蔑ス!」とメモした▼晩年になると自分にしか分からない造語を多用する。だが理解不能な句に交じって、ホームランもかっ飛ばした。〈炎天や十一歩中放屁(ほうひ)七つ〉〈大晩春泥ん泥泥どろ泥ん〉。この自由さ、大らかさはどうだろう▼「守拙(しゅせつ)」という言葉がある。つたなくても愚直に徹する。まさに耕衣の生き方そのものだ。「人間臭さがいとおしい」と竹廣さんは言う。「天下の悪筆」と呼ばれる書も含め、今も若い俳人たちに影響を与える▼健在ならば120歳になった。できればしばしの間だけでも生き返って、元気がない世の中に活を入れる特大アーチを放ってほしい。2020・8・11

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