正平調

時計2020/08/12

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夏の朝、自宅の庭で空を仰いだ坂本九さんは小学生の娘につぶやいたという。「何だか嫌だな、きょうの飛行機」。妻の柏木由紀子さんが著書「上を向いて歩こう」に書きとめている◆坂本さんを含む524人が乗った日航機がレーダーから消えたと報じられたのは、その夜のことである。「間違いであって」。読み上げられる乗客名簿に、どれだけの人が家族や友人の無事を祈ったかしれない◆事故がなければ。「21世紀まで歌いたい」と話していた坂本さんはいま、78歳になっている。きっと元気に歌っておられたことだろう。日航123便が群馬県の山中に墜落したあの日から、きょうで35年がたつ◆事故がなければ。夫を失った別の女性は遺族の会の文集に寄せている。「良いことがあるたびに、一緒に喜びたかった」と。亡くなった520人それぞれに笑いあり、涙ありの実り多き人生が続いたはずである◆墜落は午後6時56分。追悼の催しなどで歌われ、遺族の心を慰めてきた曲に坂本さんの「見上げてごらん夜の星を」がある。見上げてごらん夜の星を 小さな星の小さな光が ささやかな幸せをうたってる…◆事故は風化していないか。空は安全になったか。きょうの日にその歌を静かに口ずさんで、亡き人をしのぶ。2020・8・12

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