正平調

時計2020/08/25

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1995年のバレンタインデーは阪神・淡路大震災の直後だった。全国的な自粛ムードはチョコレートの買い控えへとつながり、被災地・神戸の洋菓子メーカーをさらに苦しませた…◆そんな話を引き合いに、劇作家の山崎正和さんが振り返っている。自粛一色に染まろうとする世間にゾッとした。これでは一種のファシズムだ。芝居はやるぞ-。地震わずか5カ月後の神戸公演は語り草である◆子どものころは体が弱く、「将来は生物学の勉強をしたい」と言ったら「非国民」だといじめられた。みんなが「右向け右」、異を唱えさせない社会はいずれ破局を招く。それを身をもって知る人に「ファシズム」は決して大げさな表現でなかったろう◆戯曲に始まって、芸術、歴史に文明論と、“知識人”とはかくあるものかという幅広の執筆履歴である。兵庫の文化振興にも心を砕いて、山崎さんが86歳で亡くなった◆文化はすさんだ心に水のようにしみ入る。ドボルザーク「新世界より」を初めて聞いたときの感動をことあるごとに語っていた。終戦後、旧満州の中学で先生が手回しの蓄音機にレコードをかけてくれたそうだ◆コロナ社会に「右向け右」の空気はありませんか。文化は息をしていますか。心せよと、その人の声がする。2020・8・25

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