正平調

時計2020/09/23

  • 印刷

「死にぎわに何を思う」。ドキリとするタイトルの本に出合った。自分はどんな最期を迎えるのだろう。ふと考えるようになったのも、年のせいか◆著者は上村くにこさん。専門はフランス文学だが、7年前に甲南大学を定年退職後、死生学という新しい学問に挑んできた。古今東西の医学や哲学、文学、芸術の知恵を借り、「死ぬ覚悟」のつけ方を説く◆際立つのは日本と西欧の違いだ。日本ではリビングウイル(延命治療についての事前指示書)の制度に賛成する人が66%もいるのに、実際に書いた人は8%。多くの国が制定する尊厳死法も認められていない◆一方、欧米ではさらに踏み込み、安楽死の合法化が進む。「いざとなれば安楽死できるから生きる力が湧いてくる」という患者らの声は切実だが、あまりにも性急に処置が行われたケースを指摘する医師もいるという◆上村さんはただ机上で人の生死を論じているのではない。4年前に自身が肺がんの宣告を受け、この年同じ病で英国人の夫を亡くした。「正解はない。とことん考え抜いて」。そう語り掛ける言葉は深く、優しい◆縁起でもないと目を背けないで、元気なうちに身近な人と話し合っておきませんか。死にぎわになって「しまった」と思うことのないように。2020・9・23

正平調の最新
もっと見る

天気(10月23日)

  • 22℃
  • ---℃
  • 20%

  • 19℃
  • ---℃
  • 50%

  • 22℃
  • ---℃
  • 20%

  • 20℃
  • ---℃
  • 20%

お知らせ