正平調

時計2020/10/24

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忘れられぬ味がある。戦中世代には空腹をいっときでも満たしてくれた食の思い出を大切にしておられる方が多い。銀シャリのにぎり飯とみそ汁-とは俳優、小沢昭一さんの記憶である◆海軍兵学校で終戦を迎えた小沢さんは親元への道中、空腹と疲れから地べたに体を横たえた。見かねた上級生に実家まで連れていかれ、復員祝いのお相伴にあずかる。それが白米のにぎり飯と熱いみそ汁だった◆「これこそ、わが生涯、最高のうまさ」。ウグウグとのどを鳴らしながらほおばったという回想録の描写を、読み返しているだけで“口福感”が広がってくる。光る新米の季節、おむすびでもにぎってみますか◆「コメ離れ」が言われて久しい。1人あたりの年間消費量は50キロ台と、60年前の半分に減ったという。少子化、食の多様化、おまけにいまはコロナで外食がふるわない◆2021年産米の生産量はさらに減らす必要があろうと、国は見通しをたてる。銀シャリがごちそうだった時代から現代を見れば、にわかに信じがたい話かもしれない◆20世紀に詠まれたという川柳をひとつ。〈味噌汁は熱いか二十一世紀〉(田口麦彦)。ご安心を。いまのところみそ汁は熱いほうがおいしいし、ご飯との相性も抜群である。22世紀もきっと。2020・10・24

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