正平調

時計2020/11/02

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台北の故宮博物院に「鏤彫套球(るちょうとうきゅう)」という象牙の彫刻がある。直径12センチ弱の球に17層の場面が彫られ、驚異の技に圧倒される。親子3代が100年余りをかけたという。工芸の価値は手間暇が左右する◆長い時間を要する手仕事といえば、播磨では赤穂緞通(だんつう)が代表格だ。鍋島や堺の緞通と並ぶ「和のじゅうたん」。明治の初めに赤穂の女性が商品化した。織り上げた後、握りばさみで文様を際立たせるのが特徴だ◆生産性が重視された戦後、織り手は減少の一途をたどった。阪口キリヱさん1人になった平成初め、赤穂市教育委員会が織り方の講習会を始める。1期生には15歳の少女もいた。見並(旧姓前田)なおこさんだ◆中3の時に不登校になり、高校は受験しなかった。目標を見失う中、神戸新聞で募集を知る。それから29年。病気や子育てで中断しつつ、腕を磨いてきた。11~23日には赤穂・桃井ミュージアムで初個展を開く◆1畳の緞通を仕上げるには、根を詰めても数カ月かかる。「時間で値付けすると高価になってしまう。申し訳なくて」と、個展に向けては、新作の小物も準備している◆新たな可能性を探るが、使命は師阪口さんの技を守ることと心得る。近年は後進の指導にも当たる。効率では測れない良さを伝えたい。2020・11・2

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