正平調

時計2020/11/13

  • 印刷

41歳で病没した詩人、村上昭夫は身近な生物を通して人間を見つめた。〈部屋にはこおろぎがいるのに/なぜこおろぎの話をしないのか〉。異性や酒の話ばかりする人たちに憤っている◆人家に近づいてきた虫たちの、美しい音色に秋の深まりを知る。季節の七十二候にも「蟋蟀在戸」(きりぎりすとにあり、10月18~22日ごろ)とあるように、四季の移ろいは手元のカレンダーだけでは測れない◆気象庁が花の開花時期などを調べる「生物季節観測」を大幅に縮小すると発表した。34種が対象だった植物は桜や梅など6種に絞り、「うぐいす初鳴き」「つばめ初見」など23種あった動物観測は全てやめるという。「えんまこおろぎ初鳴き」もである◆動物の場合、気象台の周辺で見つけにくくなったのも理由らしい。温暖化などによる環境の変化がその一因だと知ったら、こおろぎの詩人は言うだろう。「自然に目もくれず、享楽の話ばかりしているからだ」◆とはいえ、四季の変わり目をとらえる感覚を鈍らせたくはない。いまは七十二候の「地始凍」(ちはじめてこおる)ころ。朝晩は冷えて、野山も町も冬支度が始まった◆人の暮らしにもそれぞれ独自の季節観測があろう。例えば「こたつ、はじめて出す」。そろそろ、ですね。2020・11・13

正平調の最新
もっと見る

天気(1月25日)

  • 13℃
  • 7℃
  • 10%

  • 11℃
  • 4℃
  • 10%

  • 14℃
  • 6℃
  • 10%

  • 14℃
  • 6℃
  • 10%

お知らせ