正平調

時計2020/12/25

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無実の罪で死刑を宣告された男の友人がつぶやく。「“時”こそはどんな人間よりも怖ろしい殺人者だ」。“時”は絶対に処罰されない-と。海外サスペンス小説「幻の女」(ウイリアム・アイリッシュ著)の一こまにあった◆時は無慈悲に流れていく。だれもが「老い」から逃れることはできず、やがて命の終幕を迎える。釈放後も心を牢(ろう)につながれたまま、「無罪」の日を待ち続けるこの人もいまは84歳だという。袴田巌さんである◆ビートルズが来日した年と聞いて、歳月の長さを知る。1966(昭和41)年に一家4人が殺された事件で逮捕され、のちに死刑が確定した袴田さんは、2014年に釈放されるまで半世紀近くを獄中に生きた◆いったんは閉ざされたかにみえた裁判やり直し(再審)の道に、再びの光である。再審を認めないとした東京高裁の判断を最高裁が取り消し、審理を高裁に差し戻した◆裁判官5人のうち2人が差し戻しに「反対」したそうだ。これ以上時間をかけるのはよして、すぐに再審を行うべきだというその主張は、袴田さんの年齢、これまでに要した時間を思えば、まっとうに聞こえる◆決着までにさらに数年かかるともいう。ため息が出る。司法は行きつ戻りつできても人生の時間は戻らない。2020・12・25

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