正平調

時計2021/01/07

  • 印刷

街、道路、せせらぎ。この三つから思い浮かぶ光景がいくつかある。いずれも城下町だ。琵琶湖畔・高島市の大溝城下や島原市の武家屋敷街では、道の中央を小さな水路が通る。金沢市内では武家屋敷の道に沿って用水が巡る◆生活のため、防火のため、物を運ぶため。さまざまな役割を担って水路はできた。役目を終えても、埋め立てたり、ふたで覆ったりせず、よくぞ残してくれた。心地よいせせらぎの音にそう話しかけたくなる◆こちらは景観や消火用水源の役割を背負うという。新神戸駅と三宮をつなぐ人工水路である。幹線道路を削り、六甲の湧き水を流せないかと神戸市が案を練る。コンクリートの都心にせせらぎ。ちょっと心が弾む◆いや託されるものはもっとある。神戸市兵庫区の松本地区にある長い水路は、阪神・淡路大震災で消火用の水があったら…という住民の思いから生まれた。防災用だが、道端にせせらぎがあるだけでとても気持ちが安らぐ。水の音には魔法の力がある◆福島の詩人和合(わごう)亮一さんが本紙掲載のエッセーで、せせらぎに触れていた。散歩していて道端を流れる水に耳を澄ませてしまった。コロナ禍で「心が乾いている」からと◆いたわりの湿り気。せせらぎが背負うものは、どんどん重くなる。2021・1・7

正平調の最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 9℃
  • ---℃
  • 50%

  • 9℃
  • ---℃
  • 20%

  • 10℃
  • ---℃
  • 50%

  • 10℃
  • ---℃
  • 50%

お知らせ