正平調

時計2021/01/17

  • 印刷

道端に植えられていたスイセンがつぼみをつけ始めた。そんな季節かと見るうち、大震災とスイセンにまつわるあれこれの話がよみがえってきた◆激しい揺れに襲われて10日ほどたったころか、ここで咲く1輪のスイセンに気づく。足を止め、かがむ。かすかな甘さが漂う。それはいたわりの香りのようだった◆当時の小欄にあったくだり。「崩壊した家の跡に、スイセンが1束供えてあった。小さな白い花が、残された人の悲しみを伝えるように揺れている」。慎み深いあの白さは悲しみに寄り添う色でもあったろう◆俳優山口崇さんの故郷は淡路島だ。大きな被害を受けた翌朝、実家の戸口前に1輪のスイセン。牛乳瓶に生けて、どなたかが置いてくれていたと、本紙への寄稿で触れていた。質素な花の姿に、さりげない優しさ◆神戸の詩人安水稔和さん宅でプランターのスイセンが咲いたのは、大震災の5日後だそうだ。それから毎年、暮れになると花屋さんで切り花2本を買って書斎に置き、新年、そしてあの日を迎えるようにする。「忘れないように。忘れないために」と◆今日はその1月17日。阪神・淡路大震災がたくさんの命を奪った悲しみの日だ。もう26年。忘れないように。忘れないために。道端のつぼみがささやく。2021・1・17

正平調の最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 9℃
  • ---℃
  • 50%

  • 9℃
  • ---℃
  • 20%

  • 10℃
  • ---℃
  • 50%

  • 10℃
  • ---℃
  • 50%

お知らせ