正平調

時計2021/01/18

  • 印刷

26年前、テレビに映った被災者の姿に心を痛め、85歳の人が神戸に宛てて便りをくれた。「古着ですが」…そうわびつつ、衣類を送るから使ってほしい、「応援しております」とある◆以前訪ねた阪神・淡路大震災を伝える催しで、会場に展示されていた「激励の手紙」の一枚である。人柄がにじむ丁寧な文面もさることながら、送り主の住所地に見えた「熊本県」「益城(ましき)」の文字が忘れがたい◆益城地方が熊本地震で大きな被害を受けたのは2016年、阪神・淡路の21年後である。寒かった26年前の冬、私たちにぬくもりをくれた土地の人々がその後「被災者」になる。そうした例はほかに幾つもあったに違いない。自分は何かできただろうか◆永六輔さんは言ったという。〈生きているということは、誰かに借りを作ること。生きていくということは、その借りを返してゆくこと〉(永拓実著「大遺言」より)◆被災地に寄り添う無私の心にむろん貸し借りなどあるまいが、胸にとめておきたい言葉だと思う。それはこう続く。〈誰かに借りたら誰かに返そう。誰かにそうしてもらったように、誰かにそうしてあげよう〉◆あの日もらった優しい気持ちを、どなたかに少しずつ-。いまを生かされている身のささやかな誓いとする。2021・1・18

正平調の最新
もっと見る

天気(2月26日)

  • 7℃
  • 5℃
  • 60%

  • 9℃
  • 1℃
  • 50%

  • 8℃
  • 5℃
  • 70%

  • 10℃
  • 5℃
  • 60%

お知らせ