正平調

時計2021/03/20

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青春とは顧みて、どんな日々であったか。「世界はまだ霧につつまれていて、つぼみが未来の奇蹟(きせき)を約束していた」とは、ゲーテの戯曲「ファウスト」(訳・手塚富雄)の一節である◆かすみたなびく山の向こうはまだ見えないが、足元に膨らんだ花のつぼみを眺めては、何かいいことがありそうだと根拠のない期待に胸躍らせる。うらやましい。青春の風景は文字通り、淡い春そのままである◆春のセンバツが始まった。大人の嫌なニュースに連日接しているせいか、きびきびとした若人の背がまぶしい。高校生の国歌独唱は澄んだ声が青空に溶け入りそうだった。目も耳もきれいに洗われた心地でいる◆2年ぶりの球春だから、「久しぶりやねえ」。甲子園に帰ってきた球児らを親戚のおじ、おばになったような気分で眺めたくもなる。何かと異例の大会だが、先輩の分も含めて2年分、思いきり楽しむんやで…◆青春といえば、ちょうど卒業式シーズンでもある。晴れの記憶は、心のアルバムの切なくも輝く特大の1枚となろう。季節の歌を一首。〈あはれしばしこの時過ぎでながめばや花の軒端(のきば)の匂ふ曙(あけぼの)〉(藤原為子)◆どうか時よ過ぎないで、今この華やぎをずっと眺めていたいから-。そんな感傷も青春の特権かもしれない。2021・3・20

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