正平調

時計2021/03/22

  • 印刷

黒沢明監督の映画「生きる」で、主人公の公務員は市民の陳情に耳を傾け、公園の整備に向けて粘り強く動く。彼が亡くなった後、葬儀に駆け付けた市民はその献身をたたえる。胸が熱くなる場面だ◆では、この場合はどうか。地元市議の要望を入れ、副市長が道路整備を急がせる。財源は、他の工事を延期して充てる-。もちろん美談ではない。副市長は謝罪し、辞意を表明した。姫路市の混乱が収まらない◆行政は公平を旨とする。事業の可否や順位を決める際は、万人を納得させる根拠や過程が必要だ。そのために、第三者委員会を置いたり、議会に審議をゆだねたりする◆この副市長は、市議の地盤で計画されている相撲場へも、予算の流用を指示する。その結果、東京の国技館を模した本格的な屋根や土俵が採用された。地元関係者は喜ぶだろうが、公平性は大きく傷つけられた◆政治家の周辺を取材すると、さまざまな「伝説」に出くわす。いわく、この橋はあの先生が架けた、あの駅はこの先生がつくった。もっともな手順は踏んでいる。核心の部分は大概、ブラックボックスの中だが◆副市長は「一線を越えた」と自ら認めた。見えないのを幸いとうそを決め込むよりましだ。厚顔な態度に慣れた目には潔いとさえ映る。2021・3・22

正平調の最新
もっと見る

天気(5月16日)

  • 24℃
  • 19℃
  • 70%

  • 26℃
  • 20℃
  • 70%

  • 27℃
  • 20℃
  • 60%

  • 24℃
  • 19℃
  • 70%

お知らせ