正平調

時計2021/03/26

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「平成の三四郎」古賀稔彦さんが、環太平洋大学(岡山県)女子柔道部で指導を始めたころの話である。創部したてで、なかなか選手が集まらない。古賀さんはある作戦を思いつく◆柔道専門誌の「好きな選手」欄で「古賀稔彦」と答えている有望な高校生を見つけては、自らのサインを送って勧誘したそうだ。そこから鍛え上げ、4年目には全国大会を制したのだから見事というほかはない◆そんな10年ほど前の記事を、突然の悲報に接して読み返した。全国一に導く練習が生半可なものであったはずもないが、退部者はいなかったらしい。過去の挿話はどれも古賀さんの人間的な魅力を教えてくれる◆たびたび兵庫にも足を運び、学校などで子どもたちに語りかけた。いつも伝えていたのは「あきらめない」というメッセージ。台風禍に見舞われた直後の淡路島に駆けつけ、柔道着でもちをついたこともあった◆バルセロナ五輪では、立つのもやっとの大けがを負いながら、金メダルをもぎ取る。畳に仁王立ちし、腹の底からほえあげるように泣いた姿が忘れがたい。「あきらめないぞ」。病床でもきっとそうだったろう◆きのう始まった聖火リレーで、古里の佐賀を走るはずだった。53歳。愛された柔道家の早すぎる旅立ちを悼む。2021・3・26

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