正平調

時計2021/04/09

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日本画家の平山郁夫さんが戦前の幼少期を振り返って書いている。兄と姉のランドセル姿がうらやましくてならず、親にねだり自分も買ってもらった。小学校に上がる半年も前である◆「行ってきまーす」。うれしさのあまり毎朝それを背負っては家を飛びだし、すぐに帰ってきた。実際に入学したときには、友人の真新しいランドセルと比べて随分くたびれて見えたという(「絵と心」より)◆読者の投稿を基に取材する本紙「スクープラボ」で、子どもたちにランドセルへの思いを尋ねていた。珍しい色を選んだり、親の説得で無難な赤や黒に落ち着いたり…。経緯はともかく、使ううちに愛着も増すのか、概して満足度は高かったようである◆色にしても機能にしても、今どきのランドセルは驚くほどに多様だから、迷うのも無理はない。入学の1年前にはランドセル選びの活動、いわゆる「ラン活」を始める家庭も多いと聞く。平山画伯も脱帽だろう◆落語家の桂米朝さんに大人目線の一句がある。〈ランドセルこれが苦労のはじめかも〉。しょい始めるのは親の期待か、それとも幼いながらに感じる世渡りの気苦労か◆今から6年先、古びたランドセルは何を語るだろう。良き思い出がたくさん詰まっていることを祈っている。2021・4・9

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