正平調

時計2021/04/11

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ご高齢の方から、本紙のお客さまセンターへ電話をいただいた。「犬がかわいそうだ。犬は飼い主のためなら自分を犠牲にする。脚まで縛るなんて…」。泣きながら話されたという◆「かわいそう」と思ったのは、神戸の六甲山中で見つかった子犬のことである。後ろ脚に粘着テープが巻かれて道路の脇にいた。車で通りがかった男性が気づいて保護しなかったら、子犬はどうなっていただろう◆日々、紙面について感想や意見をいただくが、今回はとりわけたくさんの声が届く。ネットで読んだという北海道の方からも問い合わせがあった。愛犬家であろうとなかろうと、気持ちがざわつく事案である◆昨年の直木賞受賞作「少年と犬」を思い出す。東日本大震災に見舞われた東北から九州へと舞台を移しながら、「多聞」という名の犬と人との不思議な物語が進んでいく。受賞直後、犬をなぜ登場させたかと問われ、作者馳星周(はせせいしゅう)さんはこんな話をしていた◆「犬に限らず動物は、神さまが人間に遣わせてくれた生き物だと思います。動物がいなかったら、人間はもっと傲慢(ごうまん)になる。そこを書きたかった」。われら愚かな人間は、どれほど動物に救われているか、と◆子犬を前にしても、傲慢に生きる。遣わせた神さまはご立腹だろう。2021・4・11

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