正平調

時計2021/04/26

  • 印刷

経済小説の巨匠、高杉良さんの自宅を訪ねた。82歳。近年患った目の病気で視力が落ち、執筆は明るい午前中にとどめ、ルーペをのぞきながら原稿用紙と向き合う◆「3度の飯より取材が好き」。アルチザン(職人)を自認し、人に会い話を聞くのを信条としてきた。「労働貴族」「広報室沈黙す」「金融腐蝕(ふしょく)列島」…。作品はリアリティーにあふれ映画やドラマにもなった◆創作の源泉だった取材が視力低下で困難になった。「自分の話を書こう」と取り組んだのが自伝的経済小説という新境地だ。新刊「破天荒」は弱冠19歳で飛び込んだ業界紙「石油化学新聞」の記者時代を描いた◆主人公は石油化学産業を取材する、まさに自分自身だ。「恐怖心より好奇心が強い」記者は現場に通い、数々のスクープを連発する。当時の記事は躍動感でいっぱいだ◆業界紙、専門誌の出身で浮かぶのは藤沢周平さんや椎名誠さん、鎌田慧さんらだ。経済の深いところに入り込み、情報を得る。そこで人間を見る目が養われたのだろう◆高杉さんの破天荒ぶりは記者から作家へ飛翔(ひしょう)するところにある。反響を呼んだデビュー作「虚構の城」は入院中に書いたものだ。作家生活45年になる。「書いているから元気でいられる」。好奇心は衰えていない。2021・4・26

正平調の最新
もっと見る

天気(6月20日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

  • 27℃
  • ---℃
  • 0%

  • 30℃
  • ---℃
  • 0%

  • 29℃
  • ---℃
  • 0%

お知らせ