正平調

時計2021/04/29

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一度訪れたいと思いながら、果たせないままの地がある。富山県の南砺(なんと)市利賀(とが)村だ。山を越えれば岐阜県である◆新しい稽古場を探していた演出家鈴木忠志さんが、東京を離れてこの村に拠点を移したのは45年前だった。合掌造りの空き家が家賃2万円。気に入った◆外国の劇団も加わって開く演劇祭は、世界に知られるようになった。やがて利賀は「演劇の村」と呼ばれ始めた。「演劇の聖地」と言う声も耳にする。何とか見てみたいと願うのは、その村での一夜の芝居である◆こちらは「演劇のまち」。当代きっての劇作家を招き、新しい大学もできた豊岡市に波が立つ。推進する現職が市長選で敗れ、異議を唱えた候補が勝った。演劇だけが争点ではないし、これも市民の選択と受け止めながらも、伝える記事を何度も読む◆5年前の産経新聞で、鈴木さんはこんな話をしていた。「観客は芝居の内容だけに感動するのではない。場も含めて作品なんです」。場とは劇場をさしているが、少し広げて、地元の町を含めて作品と読み取った◆豊岡で一夜の演劇を楽しみたい。豊岡でもっと学びたい。訪れてみたい。そう願う人はきっと、たくさんいるだろう。そのためにも理解や共感という名のくわをふるって、町を耕す。もう一度。2021・4・29

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