正平調

時計2021/05/10

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「この本、読んでみ」。落語家の笑福亭銀瓶(ぎんぺい)さんは入門間もない頃、師匠の笑福亭鶴瓶(つるべ)さんから1冊の本を薦められた。上方落語の大名跡、桂米朝さんが半世紀前に書いた「落語と私」だ◆中高生向けの平易な筆致だが内容は深い。落語の本質は「演者がきえてしまう話法」である。噺(はなし)の世界に聞き手を案内している以上、演者が出てきてはいけないと説く◆鶴瓶さんは演者が消えるどころか個性が前に出る。「鶴瓶噺」というライブがある。33年間弟子として仕えてきた銀瓶さんは新著「師弟」で書いた。「登場人物と鶴瓶自身をうまく融合させ、噺の世界観を大事にする、そういう高座に変化していった」◆もとはタレント志望だった銀瓶さんだが、落語の世界に魅せられ、大ネタや自らのルーツを生かした韓国語落語に取り組む。人生の節目に鶴瓶さんの教えが生かされる◆改めて感じるのが師弟関係の深さだ。常にアドバイスを送り、苦難の際は手を差し伸べる。「俺も、そないして、オヤッサン(笑福亭松鶴さん)にしてもろたからや」◆「師弟は三世」。銀瓶さんは著書をこう締めくくる。その深い縁は前世、現世、来世につながっているという。コロナ禍を乗り越えたとき、師弟が競演する見事な高座を見せてほしい。2021・5・10

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