正平調

時計2021/05/11

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つらい病床で、正岡子規が書いている。庭を歩けるくらいに回復したかったが、もう望まない。せめて体を起こして座りたい。いや、1時間だけでも苦痛なく寝られたらどんなにうれしいだろう。それが今の「小さき望(のぞみ)」だと◆容体に不安を覚えた患者やその家族が、病院に運んでほしい、入院させてほしいと願う。そのことが大きな望みだとは思えない。病床が逼迫(ひっぱく)するこのご時世だから無理は言えない、仕方がないと思いたくもない◆〈「どうしても無理なら他をあたります」受け入れ要請二件を拒む〉。歌人、犬養楓(かえで)さんの歌を本紙で読む。救急科の専門医をされているそうだ。悔しさに奥歯をかむ音が「拒む」の2字から聞こえてならない◆これがニッポンかと疑う、医療危機である。空きベッドが足りず、病院に搬送されないまま息をひきとる方が絶えない。神戸の介護施設ではコロナ感染した26人が亡くなり、その多くが入院調整中だったという◆東京五輪・パラリンピックで看護師を500人も確保できるのかと問われ、首相は答えた。「現在休まれている人がたくさんいると聞いている」。そんなに簡単ならまずは医療現場にと、なぜならないのだろう◆命を守り抜く政治であってほしい。小さき望みを大きな声で叫ぶ。2021・5・11

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