正平調

時計2021/05/13

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この仕事に就いたとき、10円玉をできるだけたくさん持ち歩けと教わった。何かと公衆電話の世話になるからだ。だから「取材先ではまず、どこに電話があるか確かめるように」と◆ポケットがジャラジャラと鳴ったのも遠い昔話である。テレホンカードが登場して解放され、携帯電話が普及したから電話を探すこともなくなった。思い出、あれこれ。その公衆電話がさらに減ってしまうという◆現在の4分の1程度にする案を総務省の有識者会議がまとめた。「赤字続きだから」が理由である。新幹線車内の公衆電話も6月には消えていくそうだ。携帯電話は見慣れた街の光景をあっという間に変える◆でも、いざというときの命綱である。誘拐された少女が容疑者のすきを見て逃げ出し、駅の公衆電話から「助けてほしい」と110番して保護されたこともある。使い方のイロハは、子どもにはきちんと教えたい◆公衆電話は災害時にもつながりやすい。阪神・淡路大震災のときは長い列ができた。持ち合わせが乏しく、「貸して」と呼びかけたら列のあちこちから10円玉、という話も聞いた。お互いさま精神も伝えたい◆うれしい話もつらい出来事も、10円玉を入れて幕が開く。消えゆく昭和がまた一つと、ちょっと感傷的になる。2021・5・13

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