正平調

時計2021/05/17

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兵庫県上郡町の小野豆(おのず)集落を3月下旬に訪ねた。標高300メートルの山上集落で、桃源郷のような場所だ。田畑はよく耕され、山麓には桜やカイドウ、ツバキが咲き競う。いつもの風景だが変化も感じた◆草木が枯れ、表情が変わった庭がある。当主が不在になったようだ。荒れた竹やぶや、雑草に覆われた棚田も見える。小野豆で生まれ育った男性(84)は、「今では数世帯にまで減ってしまった」と話す◆終戦の年には40世帯が住み、同級生も集落に6人いたという。車で走れる道が通じた1962年以降、人口は急激に減っていく。男性は山や畑を手入れし、周辺の美化に努めているが、一人では限界がある◆集落には平家の落人伝説が伝わる。男性は少年時代、近くにあった寺の日曜学校で、住職から教わった。「平家の子孫やから気品高く賢く」。伝説の真偽は不明でも、その誇りが美しい住環境を支えてきた◆十数年前から身近な風景を撮影している。今のうちに切り取っておこうという考えからだ。現在のカメラは3代目。変わらないでと願いながらシャッターを押す。20歳の時から住む女性(78)も同じ思いだ◆語るべき物語があり支えようとする人がいる。何とか、次の世代につなげないものだろうか。2021・5・17

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