正平調

時計2021/05/18

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山田風太郎に「雨の国」という短い随筆があった。現在の養父市に生まれた作家は、ふるさと但馬を「雨の多いところだ」と振り返りながら、忘れ得ぬ幼少期の思い出をつづっている◆ある雨の日、地面に掘った小さな穴にアマガエルや草花を入れ、ガラスのかけらでふたをした。それを「小さな水族館」に見立てたらしい。傘を差したまま、飽きることなくずっと見つめていたと随筆にはある◆うっとうしい長雨も遊びの舞台に変えてしまう才能が、だれしも子どもの時分には備わっているのだろう。作家にならってしばし雨の記憶をたぐり、物思いに浸っていたいところだが、なかなかそうもいかない◆出し抜けの大雨である。近畿の梅雨入りは「過去最速」というニュースから一夜明けたきのう、各地で災害への警戒が呼びかけられた。まだ5月、文字通り「五月雨(さみだれ)」の梅雨か…などと、感じ入るいとまもない◆漢字「雨」の形に着目した小学1年生の詩を読んだことがある。〈なんだか/まどに雨がふっているみたい/ポツポツ/雨がふってるみたい/かん字って/おもしろいね〉。これも子どもならではの発想だろう◆そう、窓をポツポツたたく程度の雨がいい。災害の憂いなく、田畑に恵みを、心に潤いをもたらすくらいの。2021・5・18

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