正平調

時計2021/05/25

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オリンピック聖火が兵庫を駆けていった。といっても新型コロナの緊急事態宣言下、公道でのリレーは中止され、2カ所の無観客会場でランナーたちが火をつなぐという異例の形だった◆地元やゆかりの町を走ることかなわず、著名人の辞退もあった。直前まで参加を悩まれたランナーも少なからずいたことだろうが、中継画像越しの皆さんの笑顔が多くの人の心を明るく照らしたのもまた確かである。裏方さんを含め、お疲れさまでした◆作家の向田邦子さんに聖火にまつわる随筆があった。父と言い争いをして家を出ることを決め、アパートを探し回ったのは1964(昭和39)年、東京五輪の開会式当日のこと。案内の車がふっと脇道にそれた◆いぶかしんでいると、不動産屋の人が得意げに「ここが特等席ですよ」と言う。眼下には国立競技場が広がっていた。火のともる聖火台を見て、向田さんはなぜだか泣けてきたそうだ。ちょっと分かる気がする◆57年ぶりの東京五輪は日ごと向かい風が強くなり、祝祭ムードはそのかけらさえ見づらくなってきた。このまま予定通り開会し、聖火がともったとして、それをどんな心持ちで見るのか、いまは想像ができない◆聖火はこれから東北へ。揺らめく火にさまざまな思いがよぎる。2021・5・25

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