正平調

時計2021/06/17

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「超絶技巧を超えて」のタイトルにひかれ、吉村芳生(よしお)さんの特別展(神戸ファッション美術館)を見た。色鉛筆などで描いた細密画は見事で、作品の前で何度も立ちどまってしまった◆とりわけ見入ったのは「新聞と自画像」というシリーズである。ある日の新聞1面を細部まで描き写し、自分の顔を重ねる。うれしい話題にはふと口元が緩み、悲しい出来事があれば頬が少しこわばっている◆通常国会が閉会した。吉村さんが健在なら、きょうの紙面にどんな自画像を重ねるだろう。菅首相自ら、「国難」と語っていたコロナ禍にあって、あっさりと幕を閉じた。聞かれて困ることがそんなにあるのかね◆施政方針演説を思い出す。「デジタル」を19回も使ったのに「格差」「貧困」や「弱者」はまったく登場しなかったと、同志社大の浜矩子(のりこ)教授が嘆いていた。収入が減って窮した人々を政治は本当に救ったか◆「言葉を持たない人」。作家高村薫さんの首相評もずいぶん辛口である。大事な問題について国民へきちんと語らない、という意味だ。なるほど感染対策にしても五輪・パラリンピックにしても、この国会での首相の言葉を覚えている人はどれほどいるか◆本日の紙面なら吉村さんは? きっと口を「むっ」と閉じている。2021・6・17

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