正平調

時計2021/06/28

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輸入雑貨商の井之頭五郎が仕事の合間に立ち寄った食堂で、気前よく注文した料理を一人、黙々と食べる。ただそれだけなのに読者の腹の虫が鳴るから不思議だ。ドラマ化もされた人気漫画「孤独のグルメ」である◆「うん、うまい、確かにうまい」。会話はなくセリフはいつも心の声。食材と向き合い、料理人の手さばきと味付けを心静かに堪能する。ふと気づく。これはコロナ禍で推奨されている「黙食」ではないか◆禅宗の一派、曹洞(そうとう)宗の教えに「五観(ごかん)の偈(げ)」があると本紙夕刊で学んだ。いわく「功(こう)の多少を計り彼(か)の来処(らいしょ)を量る」(この食事が多くの人の手間に支えられたことに感謝する)「己(おのれ)が徳行(とくぎょう)の全欠を忖(はか)って供(く)に応ず」(今日の行いはこの食事に見合ったものか)◆確かに大勢の会食は楽しい。日本酒やビールが入れば会話は弾む。日頃のうっぷんも晴らしたい。だが、この機会に食の原点に返ってみよう。禅僧は言っている。「飽食の時代だからこそ、黙して食と向き合う精神を見直してほしい」◆緊急事態宣言が解除され、時短と土日祝の禁止はあれど、お酒も解禁された。今こそ時代に合った作法を身につけたい◆会話は控えめに、酒量もほどほどに。下戸の五郎さんを見習い、一心に食事と向き合うのも悪くない。2021・6・28

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