正平調

時計2021/06/29

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いまは忘れられた夏の季語に「コレラ船」がある。俳人、夏井いつきさんの著「絶滅寸前季語辞典」によれば、コレラが発生したために港に入れず、沖に留め置かれたままの船をいう◆高浜虚子は〈コレラ船いつまで沖に繋(かか)り居る〉と詠んだ。のんびりした夏の海を連想してしまいそうだが、死亡率の高かった昔は「ころり」と呼ばれて恐れられた伝染病である。懸命の水際対策だったのだろう◆東京五輪のために来日したウガンダ選手団に、新型コロナの陽性者が見つかった。出国前は陰性だった選手にむろん瑕疵(かし)はない。ひっかかるのは日本の水際対策である◆成田空港で1人の感染が分かっていたのに、どうしてほかの選手を合宿地の大阪まで移動させたのだろう。そこで2人目の感染が判明したことで、水際の網は破られた。同じ飛行機で来たのだから、濃厚接触者がいることくらいは想像できそうなものを◆懐かしい夏の風物詩とコレラをかけ合わせた、これも昔の句。〈コレラ怖(お)ぢ蚊帳吊(つ)りて喰ふ昼餉(ひるげ)かな〉(杉田久女(ひさじょ))。蚊帳でコレラ封じとは滑稽と笑うなかれ。不安におびえる庶民の姿がいまは身につまされる◆首相が水際対策の徹底を指示したそうだ。もうすぐ7月。「安全安心な五輪」の、何とのんきなことかいな。2021・6・29

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