正平調

時計2021/07/15

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名手も演奏前は緊張するそうだ。ドキドキしてしまう。厄介なことに、年齢が上がるほどひどくなったと、桂米朝さんとの対談で打ち明けていた◆年を重ねると、より高いものを追い求めてしまうからだ。でも、緊張しない方法が一つある。それは練習。「これだけやってるんだから大丈夫と、自分を暗示にかける」。「一芸一談」で読んだ裏話である◆堂々として華やかなステージからは想像もできないが、日本を代表する演奏家も実はドキドキしている。それを克服するために練習練習と、わが心を鍛え上げたバイオリニスト辻久子さんが95歳で亡くなった◆関西の人である。これほど名前が鳴り響いたら、拠点を東京へということになりそうだが、ついぞ動かなかった。厳しく育てたお父さんが「実力があれば大阪も東京も同じ」と言っていたこともある。それだけ地元への思いが深かった、ということだろう◆阪神・淡路大震災のときは大阪のホテルにいた。長く住んだ神戸、阪神間の惨状を知り、音楽家として決意したそうだ。「バイオリンを弾くことしかできないが、求められればどこへでも」。以来、音楽で人々を慰めるチャリティー活動も続けていた◆奏でた音色はきっと、聴いていた人たちの胸の奥で今も響いている。2021・7・15

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