正平調

時計2021/07/27

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大岡信さんの詩にあった。〈かぎりない柔らかさによってたつ/花の威厳〉(「花1」より)。柔よく剛を制する「柔(やわら)」の道で見事な「花」を咲かせた兄妹の姿を、その一節に重ねる◆東京五輪の柔道男子66キロ級で阿部一二三(ひふみ)選手が、女子52キロ級では阿部詩(うた)選手がそれぞれ優勝した。男女のきょうだいそろっての金メダルは日本初という。神戸出身である2人の歴史的偉業を郷土の誇りとしたい◆決勝で一本勝ちし、畳を何度もたたいて喜びをかみしめた詩選手が直後のインタビューで語っている。「お兄ちゃんの試合が今からなので、気は抜けない」。兄妹の夢と絆がその一言に詰まっていたように思う◆ともに金メダル候補の筆頭に挙げられていた。かかる重圧は並大抵ではなかったはずだが、力の限りにぶつかってくるライバルたちの技をしなやかにかわし、わずかな隙を逃さない。そこに王者の風格があった◆五輪で金2、銀2、銅1の柔道家、谷亮子さんの語録にある。「世界中が束になって、自分一人にかかってくるのを倒し続けた。束になってかかるほうには絶対なりたくなかったから」。全身、負けん気である◆“世界最強”の兄妹にかかっていく束は、今後ますますその大きさを増すだろう。望むところ、に違いない。2021・7・27

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